情報資産管理台帳の作り方|IPAのサンプルに沿った項目と重要度の付け方
更新日:
ご利用の前に
本サービスと本サイトの解説は、SCS評価制度の★の取得を保証するものではありません。取得には、要求事項・評価基準のすべてを満たす必要があります。
★3の申請には、制度に登録されたセキュリティの専門家による確認が別途必要です。本サービスは、専門家による確認・評価機関による評価に代わるものではありません。
制度の開始時期・要求事項などは、IPA・経済産業省の公表資料をもとにしており、変わることがあります。個別の状況についての助言はしていません。
情報資産管理台帳は、会社が業務で使っている電子データや書類(情報資産)を一覧にし、それぞれがどれだけ大切かを決めて管理するための表です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版には、付録として「資産管理台帳(サンプル)」(付録6)がExcelで付いており、その中の「情報資産管理台帳」シートを使って、自社の情報資産を把握する手順が説明されています。この記事では、そのサンプルに沿って、台帳の項目と重要度の付け方をまとめます。
IPAの資産管理台帳(サンプル)の構成
付録6の資産管理台帳(サンプル)は、全9シートのExcelファイルです。ガイドラインでは、情報資産と、関連するネットワーク機器・ソフトウェア・ハードウェアを一覧化したもののサンプルと説明されています。主なシートは次のとおりです。
| シート | 使いどころ |
|---|---|
| 台帳記入例 | 情報資産管理台帳の記入例。人事・経理・営業などの業務ごとの例が載っている |
| 重要度定義 | 機密性・完全性・可用性の評価値を決めるための基準と、該当する情報の例 |
| 情報資産管理台帳 | 洗い出した電子データや書類を記入する本体のシート |
| ネットワーク機器台帳・ソフトウェア台帳・ハードウェア台帳 | 情報資産に関連する機器やソフトウェアを記入するシート |
| リスク値算定 | 情報資産ごとのリスクを見積もり、対策を考えるためのシート |
情報資産管理台帳に書く項目
サンプルの「情報資産管理台帳」シートには、次の項目が並んでいます。
- 業務分類(人事、経理、営業など)
- 情報資産名称と備考(社員名簿、顧客リスト、受注契約書など)
- 利用者範囲と管理部署
- 管理者名と管理者連絡先
- 媒体・保存先(書類、事務所のパソコン、社内サーバー、社外サーバー、モバイル機器など)
- 評価値(機密性・完全性・可用性)と重要度
- 保存期限と登録日
同じ顧客リストでも、持ち運ぶ電子媒体に入っているものと、モバイル機器に入っているものは、保存先ごとに行を分けて書く例になっています。どこに保存しているかが分かれば、守り方を保存先ごとに考えられます。
台帳の作り方と重要度の付け方
ガイドラインでは、次の順番で台帳を作り、重要度を決める方法が説明されています。
- 情報資産を洗い出す。パソコンのハードディスクや机の引き出しを見るのではなく、日常どのような電子データや書類を利用して業務を行っているかを考えて洗い出すと、作成しやすくなります。
- 情報資産ごとに、機密性・完全性・可用性の評価値を付ける。漏えいや改ざん、誤びゅう(誤記、計算違い)が起きたり、必要な時に利用できなかったりしたときの事業への影響や、法律で安全管理義務があるかどうかなどを踏まえて、評価値3~1を記入します。
- 重要度を決める。重要度は、機密性・完全性・可用性のいずれかの最大値で判断します。
- 例外を当てはめる。事故が起きると法的責任を問われたり、取引先・顧客・個人に大きな影響があったり、企業の存続を左右しかねない場合や、個人情報を含む場合は、計算の結果にかかわらず重要度を3とします。
重要度の計算の例
見積書のデータ:機密性2・完全性2・可用性1 → いちばん大きい値は2 → 重要度2
顧客リスト:機密性3・完全性2・可用性2 → いちばん大きい値は3 → 重要度3
自社の製品カタログ:機密性1・完全性2・可用性2 → いちばん大きい値は2 → 重要度2
機密性・完全性・可用性の考え方
機密性
アクセスを許可された者だけが情報にアクセスできることです。サンプルの「重要度定義」シートでは、漏えいすると事業に大きな影響があるものを2、漏えいしても事業にほとんど影響がないもの(自社製品のカタログなど)を1とする例が示されています。
完全性
情報や情報の処理方法が正確で完全であることです。改ざんされると事業に大きな影響があるもの(自社の会計情報など)を2とする例が示されています。
可用性
許可された者が必要な時に情報資産にアクセスできることです。利用できなくなると取引先や顧客に大きな影響があるもの(顧客に提供しているサービスなど)を高く評価します。
作った後に続けたいこと
ガイドラインは、IT資産管理は単なるリスト作りや棚卸しではないとし、一覧表や管理台帳の作成から始めて、定期的な見直しを習慣化するよう勧めています。新しい業務が始まった、保存先をクラウドに移した、担当者が替わった、といった変化があれば、台帳の行を直し、登録日や見直した日を残しておきます。
また、情報資産管理台帳とあわせて、パソコンやサーバ、ネットワーク機器、ソフトウェアの台帳も整えておくと、どの機器にどの情報が入っているかをたどれるようになります。IT資産の管理に労力を割くことが難しい場合は、一元管理ができるIT資産管理ツールの導入やクラウドサービスの利用も選択肢として挙げられています。
よくある質問
情報資産管理台帳とは何ですか?
会社が業務で使っている電子データや書類(情報資産)を一覧にし、それぞれがどれだけ大切かを決めて管理するための表です。IPAの「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」第4.0版には、付録6として「資産管理台帳(サンプル)」がExcelで付いています。
情報資産管理台帳にはどんな項目を書きますか?
IPAのサンプルでは、業務分類、情報資産名称と備考、利用者範囲、管理部署、管理者名と連絡先、媒体・保存先、機密性・完全性・可用性の評価値と重要度、保存期限、登録日が並んでいます。
重要度はどう決めますか?
機密性・完全性・可用性にそれぞれ評価値3~1を付け、そのいずれかの最大値で判断します。個人情報を含む場合や、事故が起きると法的責任を問われる場合などは、計算の結果にかかわらず重要度を3とします。
台帳は一度作れば終わりですか?
いいえ。ガイドラインは、一覧表や管理台帳の作成から始めて、定期的な見直しを習慣化するよう勧めています。業務や保存先、担当者が変わったら台帳を直します。
出典
- 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン 第4.0版(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・第4.0版(2026年3月27日公表))
- 「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」説明資料(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・第4.0版)
- 中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン(付録の一覧)(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・第4.0版)
- 付録6 資産管理台帳(サンプル)(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・第4.0版の付録)
- サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度(SCS評価制度)制度の詳細(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・2026年5月29日更新)
- SCS評価制度 よくある質問(独立行政法人情報処理推進機構(IPA)・2026年5月29日更新)
- 「サプライチェーン強化に向けたセキュリティ対策評価制度に関する制度構築方針」を公表しました(経済産業省・2026年3月27日)
出典の確認日:2026年10月13日
この記事は、公開日時点の公的資料をもとにした一般的な情報で、★の取得を保証するものではありません。制度の内容や予定は変わることがあります。自社の対策が要求事項を満たすかどうかは、IPA・経済産業省の最新の資料をご確認のうえ、セキュリティの専門家にご確認ください。